ピロリ菌、胃がん原因の8割 検査・除菌の機会が拡大

胃がんの原因の8割を占めるといわれるピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)の感染。平成25年に胃潰瘍などの病気がなくても除菌治療が保険適用となったことで、検査や除菌を受ける人が増えている。胃がんによる住民の死亡を減らそうと、検査と除菌を独自に導入する自治体も出てきている。(平沢裕子)

◆内視鏡が「推奨」に

千葉県在住の公務員男性(60)は昨年9月、人間ドックで胃からピロリ菌が見つかった。男性は毎年、人間ドックで内視鏡検査を受けていたが、これまではピロリ菌検査は項目外で、初めて感染を指摘された。男性は「内視鏡検査で『胃が荒れている』と言われたことはあったが、ピロリ菌に感染しているとは思わなかった」と話す。除菌治療を2回行い、今年9月の人間ドックではピロリ菌は消えていた。男性は「除菌できてよかった。胃の調子もよくなった」と喜ぶ。

ピロリ菌に感染すると慢性的な胃炎を起こし、その後に胃潰瘍などを発症し胃粘膜の縮小が進むと、胃がんになるリスクが高まるとされる。こうした事実から、世界保健機関(WHO)の専門組織「国際がん研究機関」は2014年、「胃がんの8割がピロリ菌の感染が原因で、胃がん対策はピロリ菌除菌を中心にすべき」とする報告書をまとめている。

ただ、日本の胃がん対策は、胃のエックス線検査による胃がん検診が推奨されるだけで、ピロリ菌の検査は入っていない。厚生労働省が9月に公表した「がん検診のあり方に関する検討会中間報告書」では、胃がん対策として新たに胃の内視鏡検査が推奨に加わったものの、ピロリ菌検査は「死亡率減少効果のエビデンス(科学的根拠)が十分ではない」として見送られた。

◆中高生も対象

一方で、独自にピロリ菌検査を導入する自治体は増えている。厚労省によると全国で6%に上る。

岡山県真庭市は平成23年度から40歳以上を対象に導入。胃がん検診を受ける人にまずピロリ菌の抗体検査を受けてもらい、陽性者に対して内視鏡検査を勧めている。25年度からは中学2、3年生も対象とした。

同市健康推進課は「除菌による胃がんの発生予防効果などから導入した。同時に保護者への啓発活動を行えば、市全体で胃がんとなる人を減らせるかもしれない」と期待を寄せる。

北海道でも北海道大の協力を受け、稚内市や美幌町で中学生や高校生を対象に検査と除菌を行っている。

北海道大大学院がん予防内科学講座の浅香正博特任教授は「ピロリ菌感染者の除菌が進めば、胃がんで亡くなる人が激減するとみられる。自分や家族の健康のために、ぜひ一度、検査を受けてほしい」と呼びかけている。




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