飯舘村生まれ、災害救助犬の道 七転八起だ「じゃがいも」

福島県飯舘村生まれで、岐阜市の施設に引き取られて災害救助犬を目指している雑種犬「じゃがいも」(雄、四歳)が一日、名古屋市緑区の乗鞍公園で訓練の様子を披露した。東京電力福島第一原発事故で避難を余儀なくされた飼い主に生後間もなく預けられてから四年三カ月。十八日に八度目の試験に臨む。

公園の一角に置かれた二つの大きな木箱。「捜せ」。訓練士の指さす方に進み、周囲の臭いを嗅いだ。二つ目の木箱を一周して止まると、隙間に鼻を当てたり、木箱に前脚を掛けたり。「ワン、ワン」。中から人が現れると尻尾を振り、見学者から拍手が起きた。

じゃがいもを育てているNPO法人・日本動物介護センター(岐阜市)に、乗鞍公園に集う犬の飼い主八人が寄付を続ける縁で、訓練を公開した。支援者の北村美代子さん(70)=名古屋市緑区=は「昨年は怖がってほえることすらできなかったのに」と成長に目を細め、吉川紀美代さん(54)=同=は「じゃがいも君とスタッフの頑張りに勇気をもらえる」と語る。

二〇一一年八月、福島市に避難する飼い主の依頼でセンターに預けられた。生後二カ月で、きょうだい五匹は引き取り手が見つかったが、一匹だけ残った。センター理事長の山口常夫さん(64)の発案で災害救助犬を目指して訓練を始めた。名前は、飼い主からセンターにお礼として送られてきたジャガイモにちなんだ。

一般社団法人ジャパンケネルクラブが年一、二回実施する救助犬認定試験の合格率は一~二割。訓練士への服従やがれきの中に隠れた人を捜せるかで考査する。十分間の捜索時間中にはパトカーのサイレンなど大きな音が流れる。じゃがいもは警戒心が強いため気にしすぎ、過去七回の試験では力を出せなかった。

訓練士の上村智恵子さん(42)が毎晩自宅に連れて帰り、一緒に過ごす時間を増やしていくうちに信頼関係が高まり、ようやく周囲の状況にかかわらず指示を実行できるように。犬は七歳くらいまで成長を見込めるため、しばらくは挑戦を続けるつもりだ。

センターでは、東日本大震災後に保護活動のために受けた助成金などが底をつき、今は寄付頼みで訓練を続ける。年二回飼い主にも会わせている。「皆さんに助けられたじゃがいもが、今度は人を救う側になる」。山口さんは合格を心待ちにしている。問い合わせは、日本動物介護センター=電058(264)4454=へ。




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