維新分裂 松野氏袋小路にはまる 地元熊本で支持者に釈明

維新の党の松野頼久代表(比例九州)が袋小路に追い込まれている。“盟友”だった九州の国会・地方議員は31日、橋下徹大阪市長率いる「おおさか維新の会」の結党大会に雪崩を打って参加した。維新の党と民主党の合流も進まず、松野氏の前途は狭まるばかりだ。

「なるべく早く党内分裂の事態を収拾したい」

31日午後、松野氏は熊本市内のホテルで開いた国政報告会で、分裂騒動について支持者に頭を下げた。

橋下新党の大阪系議員らを相手に党員名簿の引き渡しを求める民事訴訟を起こすなど、維新の分裂劇は法廷闘争に発展した。報告会は非公開だったが、出席者によると松野氏は「やられっぱなしというわけにもいきませんので主張だけはしますが、いがみあっているわけではございません」と理解を求めたという。

その上で「政権交代可能な野党を、もう一回作るのがぼくらの仕事だ。100人規模を集めるくらい大胆なことをやりたい」とボルテージを上げた。

発言とは裏腹に、松野氏の足元はおぼつかない。九州選出の国会議員では下地幹郎、河野正美両衆院議員(ともに比例九州)が新党に参加した。北九州、福岡両市の維新系会派の市議6人、大分の桑原宏史県議らも、松野氏と決別し、新党に参加した。今後、「福岡維新の会」など、九州各地で県名を冠した地域政党の結成に動く。

維新と同様に「第三極」を標榜(ひょうぼう)した旧「みんなの党」で選対委員長を務めた佐藤正夫前衆院議員も橋下新党に参加した。旧みんなの北九州、大分両市議も近く新党に参加する意向だ。松野氏に従うのは、熊本市の大塚信弥市議ら、ごく少数とみられる。

松野氏は国政報告会後、記者団にこの点について問われると一瞬、言葉に詰まり、「それぞれの議員の判断なので、どうこうは言わない」と述べるのがやっとだった。

松野氏の苦境は、自身の過去の行動が招いたともいえる。

松野氏の父、頼三氏は自民党総務会長などを歴任し、「政界の寝業師」の異名を取った。松野氏本人は細川護煕(もりひろ)元首相の秘書を務めた。その地盤を引き継ぎ平成12年、衆院熊本1区から民主党公認で出馬し、初当選した。永田町では、父親譲りの根回し上手といわれることもあった。

松野氏はその後、鳩山由紀夫元首相の側近として官房副長官も務めた。

だが、鳩山氏の米軍普天間飛行場移設をめぐる一貫性のない発言などで、民主党政権は失速した。すると松野氏は24年、民主党を見限り、「日本維新の会」結党に参加した。この行動に、民主党内の怒りは収まらず、除籍処分を受けた。

今年5月、維新の党の代表に就任してからは、党内の「大阪系」「非大阪系」の亀裂が広がった。特に、大阪系の馬場伸幸衆院議員(大阪17区)らと、松野氏の前の代表、江田憲司氏(神奈川8区)の関係は悪化した。「江田を切れ」と迫る馬場氏に対し、松野氏は「自分の首をかけて、俺が切る」と繰り返した。だが、松野氏が江田氏と決別することはなかった。加えて、民主党との合流を打ち出したことで、「大阪系」の不信感は頂点に達した。維新の「大阪系」は、民主党の支持団体である労働組合、特に自治労とやり合ってきたからだ。

結局、維新は分裂した。

かつて維新に所属した九州・山口の議員の多くは、自身の選挙も視野に、「松野」ではなく「橋下」を選んだ。

「本当にしっかりしてもらわないと困るんだけどね」。31日の国政報告会を聞いた松野氏の支援者の一人はこう嘆いた。

松野氏の今後は厳しい。生き残りをかける民主党との合流についても、かつての除籍処分の経緯があり、関係修復は容易ではない。

連合の古賀伸明前会長は10月29日、福岡市で産経新聞の取材に「維新はまず、党内を早く整理すべきだ。それまでは話もできない」と冷ややかな姿勢を示した。

松野氏は10月27日には都内の維新「残留組」のパーティーで「今の野党は弱い」と力量不足を認めた上で、「(安倍晋三政権の)次の政権が悪くなったときを考え、緊張感を持っていかなければならない」と、弱気の挨拶をした。周囲からは落胆の声も上がった。

松野氏は自身の選挙も危うい。民主党除籍後、過去2回は自民党の木原稔衆院議員(熊本1区)に連続して敗れ、比例でかろうじて復活当選した。

松野氏側近はぼやくばかりだ。

「3年前、民主党を逃げ出したときに彼の運命は決まっていたんだ。民主党の支援なしでは自分の選挙も戦えない。みっともない」

【衆院議員】

園田博之(熊本4区)   →  自民党
松野頼久(比例九州)   →  維新の党
河野正美(比例九州)   →  おおさか維新の会
下地幹郎(比例九州)   →  おおさか維新の会

【前職・元職など】

山之内毅(衆院比例九州) →  おおさか維新の会
外山斎(参院宮崎選挙区) →  おおさか維新の会
中山成彬(衆院比例九州) →  次世代の党




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