控え目になってきた「死亡告知」 葬儀後のフォローを大切に

家族葬が増えるなど葬儀が小規模化するなかで、故人の死の告知方法が大きく変化している。告知そのものをしなかったり、葬儀が終わった後で告知したりするケースが激増しているのだ。ただ、消極的な告知は周囲との思わぬトラブルも起こしかねない。後々の丁寧なフォローが必要だ。

◆訃報欄の掲載が激減

告知の仕方の変化が如実に表れているのが、新聞の社会面や経済面に記載される著名人の訃報記事(お悔やみ欄)だ。

産経新聞(東京本社発行最終版)の平成7年8月と、27年8月に掲載された訃報記事を調べてみた。決定的に違うのは、掲載された記事(外国人を除く)の本数だ。7年には1カ月間で136人の死亡記事があったが、27年になると41人にまで激減した。

この間、産経新聞では東京発行の夕刊がなくなっているが、訃報記事の掲載基準が変わったということはない。遺族や関係者からの死亡情報の発信自体が少なくなっているといえそうだ。

告知される情報内容も大きく変わった。7年には136人のなかで134人の記事(98・5%)に通夜、葬儀・告別式の日時、場所が掲載されていた。残る2人は「密葬で行われた」と「故人の遺志で行わない」というものだった。

それが27年になると通夜、葬儀・告別式の日時、場所が掲載されているのは、41人のなかで16人(39・0%)と半分以下に。残る25人は、「近親者のみで行う」「行った」というものだった。

「近親者のみで」という表現からは、家族葬、1日葬、直葬が選ばれたことが推測できる。また、「行った」という表現の増加は、対外的な死亡の告知をする時期が葬儀の後へと変化していることを示している。

◆弔電が打てない

7年の記事には、通夜や葬儀の会場に加えて、ほとんどの記事に故人の自宅住所が書かれていることも特徴的だ。喪主の名前も掲載されており、葬儀に行かなくても弔電を打てるだけの材料がそろっていた。それが27年の記事では、自宅などが掲載されていないものがほとんどなので、弔電すら打てなくなってしまった。

新聞に掲載される訃報記事に限ったことではない。会社内の訃報連絡、町内の掲示板や回覧板などをつかった連絡にも、同様な変化が起きている。

告知情報を少なくすることで、葬儀を小さく済ませたいという遺族の意向に加えて、個人情報に対する意識の高まりなども背景となっているようだ。

◆丁寧な喪中はがきを

死の告知を伏せて、家族葬や直葬などを選択することは、故人とのお別れがゆっくりとできるというメリットがある。一方で、人は誰でも、家族、友人、同僚、近所など多くの人と関係をもって生きている。後になって、死を伝えていなかった人、葬儀への参列を遠慮してもらった人たちから「なぜ知らせてくれなかったのか」「最後のお別れがしたかった」とクレームがくることがある。

「死亡したことを早く伝えたい」という思いと「こぢんまりとした家族葬をやりたい」という思いを両立させることは難しい。

そのため家族葬を扱った葬儀社の中には、葬儀後に故人と付き合いのあった人や親しかった人に死の告知をするとともに、「家族葬で送ったこと」を手紙できちんと報告するように遺族に対してアドバイスするところも多い。

折しも、今年になって大切な人を亡くした遺族にとっては、年の瀬に向けて喪中はがきを出すことを考えなくてはいけないシーズン。葬儀に関する告知を控えめにしたようなケースでは、とりわけ丁寧な喪中はがきを出すことが、大切となりそうだ。




http://www.sankei.com/life/news/151030/lif1510300009-n1.html