児相、人手不足が深刻化 府内の児童虐待全国最多

大阪府内の児童虐待が全国最悪ペースで増加の一途をたどる中、現場で対応する児童相談所は人手不足が深刻化している。担当職員を増やしているが、虐待件数の伸びに追い付いていないのが実態だ。児相に寄せられる相談は一刻を争うケースも多く、関係者からは職員の過労や対応の遅れを懸念する声も聞こえる。

子どもの泣き声を心配する通報を受け、現場に急行する。安全確認、保護、親への通告…。合間に児童養護施設や家庭を訪問。児相内では電話対応に追われ、夜遅くまで膨大な事務作業も続く。

「対応案件は増えるばかり。負担感は重たい」。府の児相「中央子ども家庭センター」(寝屋川市)の担当者が窮状を嘆く。

■虐待3033人

大阪市の児相「こども相談センター」では、虐待対応を専門に担う部署を設置するなど体制を強化。相談・指導に当たる児童福祉司を2014年度までの5年間で1・8倍の72人に増やした。

しかし、14年度に虐待と認定した件数は4554件と5年前の2・8倍。担当者は「相談増に見合う人員増が図られていない」と説明する。

府警によると、今年上半期(1~6月)に虐待の疑いがあるとして通報を受け、児相に通告した18歳未満の子どもは3033人(前年同期比740人増)に上り、全国最多となった。

通告の内訳は、暴言を浴びせるなどの「心理的虐待」が最多の1987人(同630人増)。次いで殴るなどの「身体的虐待」が654人(同31人増)、育児放棄の「ネグレクト」が385人(同82人増)の順だった。

事件に発展するケースが多く、摘発件数も31件(同16件増)で全国最多だった。加害者は実父や実母、内縁の夫らが目立つ。被害児童のうち生後3~6カ月の男児2人と女児1人が死亡した。

少年課は通告増の背景について「虐待に対する社会的認識が高まっている」とみる。

■48時間ルール

児相には通報から48時間以内に子どもの安全を直接確認するルールがあり、こうした初期対応だけで手いっぱいの職員も多い。

こども相談センターの管内では、外部との接触が制限されるオートロックの集合住宅や面会を拒む家庭も少なくない。担当者は「安全確認に相当の時間を取られ、48時間以内にできない場合もある」と苦悩を打ち明ける。

緊急性が明白でない事案への対応は後回しになりがちだ。中央子ども家庭センターの女性児童福祉司(42)は「子どもの安全第一を優先に対応すると、施設や家族らへの支援が削られることもあり、現場はジレンマを抱えている」と話す。

児童虐待の問題に詳しい府弁護士会の森本志磨子弁護士は、職員1人が200~250件の事案を抱えたり、3年程度で配置換えになるなどの弊害を指摘。「人員が少ないため出産や休暇を取るのをためらう職員もいる。日本の児相は海外と比べても多くの機能を有しており、役割分担や民間委託を進めるなど抜本的な改革が必要だ」と訴える。




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