業界「氷山の一角」 相次ぐ工事データ改ざん

旭化成建材のくい打ち工事データ改ざん問題は29日も、釧路市や横浜市で新たな不正が明らかになった。くいは地上から見えないため、不正は発覚しにくいのが実情だ。業界にはくい打ち工事の適正さを担保する波形データの取得を軽視する傾向があるといい、問題は「氷山の一角だ」(関係者)との声が上がる。釧路市は旭化成建材のシェアが圧倒的とされており、「さらなる不正が発覚するのでは」と危機感が広がっている。

札幌市西部で土建業を営む60代男性は3年前、札幌市北区の住居を補修した際、くい打ち工事の不正を見つけた。

床が19センチ傾いており、依頼を受けて床下に穴を掘ってくいを調べた結果、強固な地盤は約8メートル地下なのに、くいの長さは5~6メートルだった。施工側は住人と裁判になり、600万円を支払うことで和解。元請け業者が3分の1、実際にくい打ちを行った下請け業者が3分の2を負担した。男性は「家が傾かなければ、ばれないと思ったのでは」と指摘する。

一方、札幌市白石区の土建業の男性は「くい打ち工事は適正に行われているのがほとんどだ」と反論する。くいが強固な地盤に届けば、穴を掘る速度が落ち、掘り出した土の性質も変化するなど、くいが適正に打ち込まれたことが明らかだからだ。そのために「経験で安全と認識しており、少しくらいのデータの切り貼りなら、許されると思う人もいる」と明かす。

下請けへの注文が一般的なマンションなど大型建築工事の構造的な問題を指摘する声も。白石区の別の土建業の男性は「大型工事のやり直しは工期や雇用が決まっている多くの業者に面倒をかける」と指摘。道営住宅のような公共工事でも、役所は納期や予算の変更を嫌うといい「仕事をもらえなくなるのが嫌で、元請けには気を使って『1カ所くらいデータを改ざんしても大丈夫』と軽い気持ちでやったのでは」と推測した。




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