公募意見「脱原発」9割 国、電源構成に反映せず

経済産業省が二〇三〇年度に目指す電源構成(エネルギーミックス)のうち、原発の占める割合を「20~22%」とする報告書をまとめる際に国民から意見を募った「パブリックコメント(意見公募)」で、原発への依存度をさらに引き下げるか、ゼロにするよう求める意見が約九割に上っていたことが分かった。寄せられたすべての意見を本紙が情報公開請求して取得し、分析した。

政府は国民から意見を募集しながら全体傾向や詳細は明らかにしないまま、原案通り構成目標を決定しており、一般の人々からの異論を「封殺」するかのような国民軽視の姿勢が浮き彫りになった。

経産省は今年六月に電源構成の原案を示し、六月二日から七月一日まで意見公募を実施。メールやファクスなどで二千五十七件(本紙集計)が寄せられた。しかし、経産省は意見の全容を示さず、七月十六日に原案通り電源構成を決定した際、件数と、いくつかの意見を公表したにとどまった。

本紙の情報公開請求で開示された文書は三千三百八十六ページ。この内訳を分類したところ、原発については千六百十七件の意見があった。うち依存度を引き下げるか、ゼロにするよう求める意見は千四百四十九件で、89・6%だった。原案の依存度を支持するか、さらなる拡大を求める「維持・推進」は三十八件で2・4%にとどまり、賛否の判断が困難な意見は百三十件で8%だった。

原発比率引き下げを求める理由は「老朽原発の稼働を前提としていて事故が心配」「使用済み核燃料の処分方法が解決していない」などが多かった。

政府原案が「22~24%」とした再生可能エネルギーについての意見は延べ千六百六件(原発への意見と重複分含む)。うち91・7%の千四百七十二件が「もっと増やす」ことを要求。原案の支持か、比率引き下げを求める意見は十四件(0・9%)にとどまった。

行政手続法は各省庁が重要な指針などを決める際は意見公募し結果を公表するよう定めているが、公表範囲は各省庁の裁量に委ねられている。民主党政権下の一二年、将来の原発比率を決める際は政府は公募意見約八万八千件を分析、87%が「原発ゼロ」を支持していることを公表していた。

<電源構成(エネルギーミックス)見通し>

中長期的に日本がどんな電源に発電を頼るかについての比率。この見通しに沿う形で、政府は規制や財政支出を行い、電力各社も原発の運営方針や、再生エネルギーの活用策を決めるため、日本のエネルギー政策の基本となる重要な数字。家庭の省エネ目標もあり、国民生活へのかかわりも深い。2030年度時点の見通しは、14年4月に安倍政権が閣議決定したエネルギー基本計画に基づき、経済産業省の審議会の報告も反映して今年7月に策定した。




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