<インフルエンザワクチン>製造原価上昇で接種費値上げ

◇高齢者の手控え懸念も

インフルエンザワクチンの接種費用が値上がりしている。今季からワクチンの成分が変わり製造原価が上がったためで、医療機関などによると、納入価格は昨季の約1.5倍。流行が本格化するのを前に、現場の医師からは「接種を控える人が出るのでは」と懸念する声も出ている。

従来のワクチンは、A型2種類とB型1種類の計3種類のウイルスで作られ、B型は専門家が季節ごとに流行を予測して2種類のうち1種類だけに対応していた。しかし、近年はB型2種類が混合するタイプの流行が目立ち、厚生労働省は今年5月、効果を高めるため計4種類に対応するものに切り替えた。

国内四つのワクチン製造元は、いずれも販売価格を公表していない。このうち阪大微生物病研究会(大阪府)の担当者は「この十数年、原材料費が高騰しても価格を据え置いてきた。今季から原料となる鶏卵の使用数も増え、値上げせざるを得なかった」と話す。東京都が複数の卸売り大手に確認したところ、昨季は1人分1000円だった希望小売価格がいずれも1500円になっていた。

任意接種のインフルエンザワクチンは公的医療保険の対象外で、料金は医療機関によって異なる。横浜市のある診療所は昨季の3000円から3780円に値上げした。ワクチンの納入価格と昨年の消費税の増税分を反映させたという。

6カ月以上13歳未満は2回の接種が必要なため、値上がりの影響はより大きくなる。

一方、65歳以上の高齢者などは予防接種法で接種が推奨され、自治体が費用を助成する定期接種の対象となっている。自治体ごとに自己負担額が決められ、値上がりへの対応には差がある。

東京都新宿区は今季の自己負担額を昨季の2200円から2500円にした。担当者は「値上がり分を区と接種者で折半した形」と説明する。1000円から1400円に上げた札幌市は「地元医師会に頼み、一部は医療機関に吸収してもらった」という。名古屋市は「値上げを周知する時間が足りない」と据え置いた。

NPO法人「VPD(ワクチンで防げる病気)を知って、子どもを守ろうの会」理事の片岡正医師は「これほどの値上げは過去になく、医療機関としては接種料に上乗せせざるを得ない。特に高齢者にとってインフルエンザの重症化は命に関わり、接種率の低下が心配だ」と話している。




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