マイナンバー、23日配達開始 詐欺・盗難ご注意を

住民一人一人に番号を割り当てるマイナンバー制度で、番号通知カードの各世帯への配達が二十三日に始まる。これに先立ち二十日、第一陣の通知カードが、千葉県習志野市など同県の一部地域の郵便局に到着した。各地の郵便局には二十一日以降、順次届き、十一月末ごろまでに全国五千五百万世帯に配達される。

通知カードは住民票の住所に世帯分まとめて簡易書留で配達される。転送不可のため、住民票の住所に住んでいないと原則、受け取れない。届かなかったカードは約三カ月、市区町村で保管され、本人を確認できる書類を持参して窓口に出向くなどすれば、受け取りが可能だが、不着のカードがかなりの数に上るとの懸念も出ている。

通知カードは紙製で、番号のほか名前や生年月日、住所と性別が記載されている。制度の運用が始まる来年一月以降、希望者に交付され、身分証明書に使える個人番号カードの申請書が同封されている。

個人番号は、勤務先に伝える必要があるほか、一部の行政手続きで記入が求められるため、通知カードを受け取れないと不都合が生じる。

◆送付遅れる自治体も

東海地方では、当初予定より配達が遅れる自治体が出ている。愛知県一宮市や岐阜市では当初、今月下旬から通知カードを各世帯に届ける予定だったが、配達は十一月にずれ込む見通しだ。岐阜市の担当者は「(カードの発送を一手に担う)地方公共団体情報システム機構の作業に遅れが生じており、状況が読めなくなった」と話している。

名古屋市や愛知県豊橋市、津市では、十一月に入ってから届き始める見通しで、コールセンターや専用窓口を設置し、市民からの問い合わせに応じる。

◆身分証として利用するには危険も

マイナンバー制度は、政府が利便性を強調する一方で、個人情報の流出やなりすましの被害が懸念される。通知カードが届いたらどんなことに気を付ければいいのか。

「税務署や市役所の担当者が電話や自宅訪問をして個人番号を尋ねることはない。番号はむやみに教えないようにしてほしい」。内閣官房のマイナンバー担当者はこう注意喚起する。

今月に入り、制度に便乗して現金を要求したり、個人情報を聞き出そうとする不審電話も相次ぐ。東京都内では、少なくとも十件以上の不審電話があり、愛知県警にも相談が複数寄せられている。十三日には愛知県みよし市の女性宅に市役所職員を名乗る男が「マイナンバー調査」をかたり訪れ、金融機関名を聞き出そうとした。岐阜、三重各県警では不審電話や詐欺被害の相談は寄せられていないが、警戒を強めている。

個人情報保護に詳しい清水勉弁護士は「よく分からないときはいったん電話を切るなどして、時間をずらすこと。その間に、市区町村や税務署などに問い合わせをすればいい」と説明。落としたり盗まれたりするのを防ぐため、給与所得者が勤務先に番号を伝える場合など法律で決まった手続きに必要なとき以外は持ち歩くべきではないという。

個人情報が記録される個人番号カードの作成は、個人の自由だ。

上智大の田島泰彦教授(情報法)は「身分証明書として個人番号カードを使うと、情報流出やなりすましなど経済的な不正利用の可能性が高まるので作らない方がいい」と言い切る。「クレジットカードやポイントカードなどを通じて民間に集まったデータを個人番号で照合できるようになれば、買い物や移動の履歴などで人物調査がしやすくなる。テロ対策などの名目で政府が国民を管理する手段になりかねない」と危惧する。

清水弁護士は「利便性を感じるか、リスクの方が大きいと感じるかはその人次第。申請はいつでもいいので、自分にとって『確かにこれは便利だ』と思えるまでは急ぐ必要はない」とアドバイスする。




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