米海軍、「近く」艦艇派遣と伝達 南シナ海、中国をけん制

南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島で中国が「領海」と主張する人工島の12カイリ(約22キロ)内に近く米海軍の艦艇を派遣する方針を、オバマ米政権が東南アジアの 関係国 に外交ルートで伝達したことが18日、分かった。複数の外交筋が明らかにした。

派遣方針は複数の米政府高官が公に示唆しているが、関係国に意向を伝えたことは、オバマ政権の強い決意を物語る。人工島を中国の領土と認めない立場を行動で示し、実効支配の既成事実化を進める中国をけん制する狙い。中国は「領海や領空の侵犯は絶対に許さない」( 華春瑩 (か・しゅんえい) ・外務省副報道局長)としており、実際に派遣されれば、米中の緊張が高まるのは必至だ。

外交筋によると、10月に入り米政府は「航行の自由」確保のため、海軍艦艇を派遣する方針を決めたと関係各国に伝達、理解を求めた。早期に派遣するとしているが、具体的な時期には言及していない。

関係国にはフィリピンなどが含まれるとみられる。

中国の 習近平 (しゅう・きんぺい) 国家主席が9月の訪米時に、南沙諸島の「軍事化」の意向を否定したことから、米側が「中国の出方を見ている」(東南アジア諸国連合外交筋)との観測もあり、実際の派遣時期は流動的だ。米政府筋は「国際法上、いつでも実行できる」と強調した。

国防総省高官によると、南シナ海で中国が実効支配する岩礁の12カイリ内で米軍が活動したのは2012年が最後。オバマ政権は中国側の反発を懸念し艦艇派遣を回避してきたが、岩礁埋め立てや施設建設に歯止めがかからないため、強硬姿勢に転じることを迫られた。

南シナ海で中国が造成した人工島周辺への米艦艇派遣方針をオバマ政権が 関係国 に伝達したのは、中国による一方的な現状変更を容認しない決意を示し、アジア太平洋地域における米国の指導力への疑念を 払拭 (ふっしょく) する思惑がある。

ただ、米中両軍による偶発的な衝突の危険性が高まることも否定できず、米側は中国側の動向をにらみながら派遣の態様や時期を慎重に見極めるとみられる。

9月の米中首脳会談で南シナ海での岩礁埋め立てについて懸念を伝えたオバマ大統領に、 習近平 (しゅう・きんぺい) 国家主席は「固有の領土」と反論。米側は実効支配を強化する中国に有効策を打ち出せなかった。

中国と南シナ海で領有権を争う周辺国や地域の同盟国には「直接の利害がない場所で、中国と事を構える気がない」と米国の姿勢を疑問視する声も上がっていた。

2013年11月に中国が東シナ海上空に防空識別圏を設定した際、米政府は事前通告せず核搭載能力を持つB52戦略爆撃機を飛行させた。今回、 関係国 への伝達も含む形で艦艇派遣の意向を表明しているのは、強硬姿勢を示すことによって中国側から自制を引き出す狙いもありそうだ。

南沙諸島の人工島問題 南シナ海の大半の管轄権を主張する中国は、南沙(英語名スプラトリー)諸島で岩礁を埋め立て、人工島を造成して構造物を建造するなど実効支配を強化。フィリピンやベトナムなどと対立している。6月末には埋め立て作業が完了したと表明したが、施設の建設を続けている。衛星写真の分析では3千メートル級の滑走路3本を建設しているほか、戦闘艦を配備できる港湾も設置したことが判明している。




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