<身元不明者>保護97人公表せず 東京・神奈川、公表2人

認知症などで保護され身元が分からない人の情報を載せるインターネットの特設サイトに東京都と神奈川県が各1人分しか公表していないにもかかわらず、実際にはそれぞれ49人と50人の身元不明者がいたことが分かった。公表が進まない理由として両都県は個人情報保護条例の制約を挙げるが、他の自治体は公表して身元判明にも結びついていることから、専門家は両都県の対応を厳しく批判している。

身元不明のまま保護されている人を巡っては、厚生労働省が昨年、各都道府県を通じて初めて全国調査し、昨年5月時点で34都道府県に346人いることが判明した。こうしたことから厚労省は昨年8月、家族による捜索に役立ててもらおうと、ホームページ内に設置した特設サイトに個別の情報を掲載するよう各都道府県に呼び掛けた。

千葉県や静岡県が写真や保護時の状況など何らかの情報を全員分公表する一方、東京の掲載は稲城市で保護された1人、神奈川は鎌倉市の1人のみで、管内の身元不明者総数すら公表していない。毎日新聞が両都県に情報公開請求したところ、性別や推定年齢、身元確認につながる「有力情報」などの個別内容は黒塗りされたが、昨年5月時点の市区町村別の人数は開示され、東京は計49人、神奈川は計50人いた。

大半の身元不明者を公表していないことについて両都県は、個人情報保護条例に本人の同意がなければ第三者への情報提供を制限するなどの規定があることを挙げた。その上で、東京は「掲載するかしないかは保護した市区町村の判断」、神奈川は「公表の意思を確認できない人は非掲載」と説明している。

一方、全員分の情報を公表した千葉はこれまで6人中3人、静岡は17人中5人の身元が判明した。また、大阪府は今年5月、性別や推定年齢などの情報掲載は法令に抵触しないと通知し、市町村に積極的な公表を要請。その結果、39人中38人の性別や推定年齢、身長、体重、保護年月、当時の服装、所持品などが現在公表されている。

厚労省も6月、「情報掲載は家族らが自治体へ問い合わせるきっかけとなり、身元判明につながり得る。できる限りの情報掲載が重要」と改めて全国に通知し、身元不明者総数の公表なども求めた。しかし、この通知後も東京、神奈川の掲載内容には変化がない。

個人情報保護の問題に詳しい清水勉弁護士は「身元不明者の情報は本人を元の生活に無事帰すため行政が集めたもので、情報の公表は個人情報保護条例の解釈として問題はない。高齢の身元不明者は体調悪化や老化が進むこともあり、一日も早い対応が必要。実践している県では身元判明の成果が出ている。この動きに呼応しない東京と神奈川の態度は反人権的で意図的な怠慢だ」と指摘している。




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