厚労省、止まらぬ不正の連鎖 改革提言も自浄作用なし

厚生労働省をめぐっては、旧社会保険庁なども含めて汚職事件が繰り返し立件されてきた。平成21年には政府の有識者懇談会が改革を提言したが、その後も事件が続発。国の一般会計の3割を占める約30兆円の予算をつかさどる最大の巨大官庁に、自浄作用は働いていない。

厚労省は平成13年に旧厚生省と旧労働省が統合して誕生したが、それ以前から不正の舞台となってきた。元年にリクルート事件で労働省の元事務次官が東京地検特捜部に逮捕され、8年には厚生省の元事務次官が特養ホーム絡みの贈収賄事件で警視庁に逮捕された。

合流後も、外局の社会保険庁では16年の1年間だけで2つの収賄事件が摘発された。22年には、本省課長補佐が眼科診療所の指導・監督に便宜を図った見返りに賄賂を受け取ったとして逮捕された。今年に入っても官製談合防止法違反容疑で職員が書類送検されるなど、不正の連鎖が続いている。

「行政の信頼が大きく損なわれ、深刻な事態に立ちいたっている」。21年3月、年金記録問題などの相次ぐ不祥事を受けて、厚労省の有識者懇談会は同省の現状を厳しく指弾し、改革などを提言していた。

しかし、今回の事件で収賄容疑で逮捕された中安一幸容疑者は、週の半分ほどしか東京・霞が関の本省に出勤しておらず、省外で頻繁に業者と接触するなど、“まじめな公務員”とはほど遠い勤務を続けていた。

懇談会の委員として提言に携わった慶応大学経済学部の土居丈朗教授(財政学)は、「高度な専門知識を持つ職員が独占的権限を持ちがちな厚労省は不正の温床になりやすい」と指摘。「結果的に提言は不十分だった。厚労省が自ら見抜けず、目が節穴だったのは残念。不正をチェックして自浄作用を発揮できる仕組みが必要だ」と訴えている。




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