税金2000億円使いシャープを救う安倍政権の“本当の狙い”

政府系ファンドの「産業革新機構」が最大2000億円を出資してシャープを救済するという。所管する経産省は、革新機構傘下のジャパンディスプレイとシャープを連携させることで、液晶技術の海外流出を防ごうとしているらしいが、狙いは本当にそれだけなのか。

経済ジャーナリストの井上学氏が言う。

「政府の最大の目的は、11月4日の郵政上場に向けた株価全体の底上げでしょう。シャープはなりふり構わぬリストラと資産売却で延命を図ってきましたが、常に倒産懸念がついて回ってきた。そんな企業に国がポンと2000億円を出して救済するとなれば、市場には買い安心感が一気に広がり、シャープだけでなく、ソニー、村田製作所など関連銘柄の上昇も見込めます」

万が一、シャープが倒産したら、景気が一気に悪化し、アベノミクスの失敗がハッキリしてしまう。それを防ぐためにも、国費で救済する必要があるらしい。

■専門家からは厳しい声も

しかし、国が2000億円を出資して救済したところで、液晶技術の流出を防げる保証はない。

株式評論家の倉多慎之助氏が言う。

「かつての三洋電機のように、経営危機がささやかれ始めた時点で、優秀な技術者はライバル企業に次々と引き抜かれます。シャープの液晶技術の流出はすでに始まっていると考えるべきで、今さら政府が手を差し伸べたところで歯止めはかからないでしょう」

そもそも、2000億円の出資でシャープがよみがえる確証だってない。経営危機の大きな原因は、決断できない経営陣がいつまでも居座り、液晶事業をサッサと分社化せず、赤字を膨らませたことだ。シャープは今月下旬、1台1600万円もする8K解像度の液晶テレビを発売するが、一体、誰が買うのか。

「今のシャープにとって必要なのは、経営陣の刷新、それと次の中核事業に何を据えるかという経営ビジョンです。それが決まらない段階で、税金を使って救済しても、抜本解決にはなりません」(倉多慎之助氏)

もちろん、経営再建できなければ国民の税金2000億円は水の泡。一時的な株価吊り上げの材料に使われることになる。



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