“仁義なき越境”で関電、数百億円規模の売上減も 電力全面自由化まで半年、大手の戦略・新規参入…

関西、東京、中部の各電力会社がそれぞれ従来の供給エリアを越え、店舗や工場など大口向け電力で互いの顧客を奪い合っている。背景にあるのは、来春始まる電力小売りの全面自由化への危機感だ。8兆円規模の家庭用電力市場で、新規参入組を交えた本格的な競争となる。地元で顧客の流出が避けられない大手各社は、エリア外での大口販売積み上げを狙う。

コンビニ最大手のセブン−イレブン・ジャパンは10月から、大阪、奈良、和歌山、兵庫の4府県に展開する計約千店舗で東京電力グループの「テプコカスタマーサービス(TCS)」から電力供給を受け始めた。

セブンの担当者は「新しい商品展開をするためにも、電気料金を含め経費をいかに抑えるかは重要」と説明する。今春、関西電力が東日本大震災以降2度目となる値上げに踏み切ったことがセブンの背中を押した。

TCSは関電より2%安い電気料金を提示。セブンは年間数億円の削減効果を見込むが、関電側から見れば数百億円規模の売り上げを失うことになる。

TCSは、発電設備を持つ工場などから余った電力を仕入れて小売りする「新電力」。東電の供給エリア外での事業展開を担う。

一方、関電は子会社「関電エネルギーソリューション(ケネス)」を通じ、首都圏に展開する。千葉県市原市の火力発電所を買収して電源を確保し、今年2月には東電管内で家電量販のヤマダ電機の店舗に電力供給を始めた。

中部電は平成25年に新電力「ダイヤモンドパワー」を買収し、首都圏に進出した。同社は電力自由化が始まった12年の設立で、幅広い顧客層を持っている。昨年2月から新電力の導入を進めるローソンの一部契約を獲得した。

今年7月の3社の販売電力量をみると、中部電のダイヤモンドパワーが5467万キロワット時と圧倒的で、東電のTCSが続く。TCSは供給開始から1年ほどにもかかわらず、3421万キロワット時と急成長し、1104万キロワット時の関電のケネスを大きく上回る。

東電の強みは、東京を本拠に全国展開する大手企業と古くからのつきあいがあることだ。TCSからセブンの関西店舗への電力供給についても「東京の本部で交渉を進めた」(セブンの担当者)。

企業の流出が続く大阪に拠点を置く関電は「電力需要の3割以上が東電管内にある。自由化の主戦場は首都圏」(幹部)とみる。八木誠社長は「本社機能を(東京に)移転させた関西企業を中心に引き続き利用してもらう」と話す。

来年4月の電力小売り全面自由化で戦線は家庭用にも広がる。東電はソフトバンクと組んで電気と通信のセット販売などで、首都圏以外に進出する構え。関電も通信子会社のケイ・オプティコムと連携する。

ガス、石油会社や商社などが設立した新電力は、来年1月ごろに料金を決め電力の販売契約の受け付けを始める見通し。新電力各社は、効率的な営業活動ができる大都市圏に重点を置く。市場を独占してきた東電、関電、中部電はさらに厳しい競争を戦うことになる。




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