TPP大筋合意、農家は失望 重要5品目国会決議守られず

参加12カ国が5日、大筋合意に達した環太平洋連携協定(TPP)交渉。農業分野では、コメの無関税輸入枠7万8400トンの新設や麦の関税に相当する「輸入差益」の45%削減、牛肉・豚肉の関税の大幅引き下げなど、農家経営を直撃する可能性が高い。合意内容への見解や県内農家への影響などについて、JAさがの金原壽秀組合長に聞いた。

-大筋合意をどう受け止めたか。

安倍首相は野党時代に「強い交渉力で国益、日本の美しい原風景を守る」と言ったが、どこが守られたのか、われわれには理解できない。日米の2国間協議で、全てを譲ってしまった。国会決議もほとんど守られておらず、アメリカとの合意に全てを掛けたという印象しかない。

-交渉の一番の問題点は何か。

コメの需給調整のため、国の要請もあって飼料用米に60万トンを振り分けるなど努力してきたが、日本の農家に飼料用米を作らせ、外国から主食用米を入れるという国民感情を逆なでするようなありさまには納得がいかない。輸入したコメを国がどうするのか、しっかり見極めたい。

-日本の農家、佐賀の農家への影響は。

将来を見越して、農家に不安が広がる。特に、大規模農家は国の政策もあって土地集約を進めてきたが、このままだとコストが大きくなりすぎて大変なことになる。農政に対する信頼も揺らぐ。佐賀はこれまで減反など農水省の政策を相当努力して実行してきたが、「やっても同じ」となれば、今後の政策がきちんと実行されるか疑問だ。

-重要5品目の国会決議は守られたと思うか。

安倍首相は守られたと言ったが、誰が見ても守られていないのは明らか。国には失望した。美しい日本の原風景とは水田農業があることだ。そういう意味では、安倍首相が言ったことはうそだったと言わざるを得ない。

-佐賀牛や豚肉への影響は。

牛で言えば、素牛の生産が落ち込み、高値となっているし、飼料価格も1・5倍になっている。関税の引き下げがどれくらいになるか分からないが、輸入が増えれば大きな影響が出る。アメリカへの輸出枠はわずか3千トン。これでは公平とは言えない。

-国に望むことは。

まだ大筋合意の段階で、今後、国会で精査すると思う。国との交渉はいろんなツールを使って続けていきたい。国会決議に沿うように、少しでも変えていく努力が必要。県選出の国会議員も地元に思いをはせれば、何をすればいいか理解できると思う。そういうことに期待しながら、要請を続けたい。

-来夏の参院選へ影響はあるか。

間違いなく影響する。この状態の中で、今までのように“おらが村の先生”を支援して、それが安倍政権を信任することにつながるのであれば、別の考え方も出てくる。

-これまで自民党を支えてきたと思うが、今後、対応の変化があるのか。

TPPは、最終的に国会で批准する。そこを見ながら対応を話し合うことになる。県選出の国会議員がどういう働きをするのか、見極めることになる。




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