生活保護、年金…弱者の視点乏しく 1億総活躍担当相会見

第三次安倍改造内閣を発足させた安倍晋三首相は、少子高齢化を克服するため「一億総活躍社会」を目指すと表明した。それを実現するための目標として示した「新三本の矢」には、子育て支援と介護支援を盛り込んだものの、狙いは経済政策「アベノミクス」に貢献できる社会保障政策のみをテコ入れするようにみえる。政権の姿勢には生活保護や年金など、弱者を支える視点が乏しい。 

「新三本の矢」は二〇二〇年ごろ、国内総生産(GDP)六百兆円と「希望出生率一・八」、介護離職ゼロと目標を示した。子育て支援と家族の介護で離職を余儀なくされる人をなくす対策は重要な課題。だが、この二つに取り組むのは、働く世代を増やし、経済成長を加速させることに狙いがある。

安倍政権は「一億総活躍プラン」を年内に作成する方針。加藤勝信担当相は八日の記者会見で「具体的な議論はこれから」としながらも「子育て支援など働き手の支援をしていくことで力を発揮しやすい状況をつくり、トータルで六百兆円に向けて政策を進めたい」と表明。あくまでも、働く世代への支援は経済成長のためとの考えを示した。

留任させた塩崎恭久厚生労働相も改造前の六日の記者会見で「厚労省はアベノミクスのど真ん中でも、社会保障を充実させ持続可能なものにするためにも、多くの重要な課題と責任を負っている」と、社会保障の充実の必要性を指摘しつつも、経済成長に貢献する姿勢を強調した。

社会保障は必要な支援を必要な人に届ける制度。しかし、現実には給付減や負担増が続いている。生活保護費は二〇一三年度から縮小した。公的年金は全ての人の受給額を減らす「マクロ経済スライド」が今年四月から始まった。

介護保険は八月から、一定以上の所得のある人は利用者負担が一割から二割へ引き上げられた。医療保険は昨年度から、七十~七十四歳の窓口負担を段階的に一割から二割へ引き上げている。




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