自衛隊に高3生の名簿提供 兵庫県内16市町

自衛官募集を担う自衛隊地方協力本部の依頼に応じ、兵庫県内41市町の約4割にあたる16市町が昨年度、住民基本台帳から高校3年生などの氏名や住所など個人情報を紙や電子データで提供していたことが8日、神戸新聞社の調べで分かった。自衛隊法上、こうした対応に問題はないとされるが、マイナンバー制度導入を見据え、本年度は16市町のうち5市町が提供をやめるなど、個人情報の扱いを見直す動きが広がっている。

残りの25市町は提供依頼に応じておらず、兵庫地方協力本部側が台帳の閲覧を申請し、個人情報を書き写している。本年度から提供をやめた5市町も同様の対応となった。

自衛隊法施行令は、自衛官募集で必要な場合、都道府県知事や市町村長に資料の提出を求めることを認めている。伊丹市や豊岡市など16市町は昨年度、依頼に応じ、高校3年生などの氏名、住所、性別、生年月日の情報を提供した。

兵庫県によると、書き写す作業の効率化を理由に、紙などで提供を求める通知が2013年5月、防衛相から知事あてに届いた。県はこの通知に「適切な対応を」と記し、全市町に配ったという。

16市町の多くはこの通知以前から提供していたが、西宮市と姫路市は通知に前後して同本部と名簿提供の協定を締結し初めて提供。宝塚市と川西市も14年度から提供を始めた。県は「提供方法は各市町の判断に委ねている」とする。

一方で昨秋、兵庫を含む一部の地方協力本部が「陸上自衛隊高等工科学校」(神奈川県横須賀市)の生徒を募集する目的で、自治体に中学3年生の情報提供を求めていたことが発覚した。

自衛隊法は生徒募集のための資料提供依頼を認めておらず、名簿を提供した西宮市のほか、問題を重く受け止めた朝来市など4市町が本年度は自衛官募集での情報提供を取りやめた。同市は「マイナンバー制度の導入もあり、個人情報の扱いで市民に不安を与えないことが必要と考えて見直した」とする。

この中学3年生の名簿は、西宮市のほか、伊丹(昨年度は依頼なし)、川西、洲本、南あわじ、淡路の5市が提供。問題発覚後、兵庫地方協力本部が謝罪に訪れるなどしたという。

【陸上自衛隊高等工科学校】

3年制で、中卒以上17歳未満の男子が入る全寮制の学校。普通科高校と同様の一般教育のほか、自衛隊の専門的な技術の教育を行う。2009年の自衛隊法改正で「自衛官」から「生徒」に身分が変更されたが、一部の地方協力本部は従来通り情報提供を求めていたとみられる。

個人情報問題に詳しい園田寿・甲南大法科大学院教授(情報法)の話 

慎重に取り扱われるべき個人情報の提供が、法律や条例の解釈の違いで自治体の対応が一貫していない。多くは担当課レベルで安易に提供を決め、本人の同意も得ていないようだが、個人情報保護審査会といった第三者機関の意見を聞くなど、真摯(しんし)な対応が求められる。安全保障関連法の成立を受け、自衛隊への情報提供を規定したり、マイナンバー制度と健康情報を結んで適性を判断したり、今後どんな展開があるか分からない。注視していく必要がある。




http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/201510/0008468395.shtml