ロシアが地上軍派遣か NATO懸念

過激派組織「イスラム国」(IS)掃討を理由にシリアを空爆するロシアが、秘密裏に地上部隊を派遣しているとの観測が広がっている。プーチン政権はウクライナ東部で、義勇兵に偽装した精鋭部隊を送り込んできた。シリア介入の真の狙いがアサド政権支援にあることは明白で、反体制派との戦闘を優位に展開できるよう、同じ手法を使ってシリアで地上部隊の増派もあるとみて欧米は警戒感を強めている。

北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長は六日の記者会見で、ロシアが空軍以外に地上部隊も増強していると強い懸念を表明。米CNNテレビによると、米国防当局者は、ロシア軍がシリア軍の攻勢を支援するために、シリア西部に地上部隊や兵器を送り込んでいると指摘した。

欧米メディアは、シリア空爆前からロシア軍地上部隊の存在を指摘。シリア西部ラタキアでは、ロシア最新の装甲兵員輸送車が反体制派との戦闘でシリア政府軍を支援する映像が公開された。ウクライナメディアは、装甲車番号などからモスクワ州の歩兵旅団に所属する車両だと指摘した。

ロシア政界では、地上部隊を公然と派遣すべきだとの主張もある。下院のコモエドフ国防委員長は五日、ウクライナ東部で戦闘経験を積んだロシアの義勇兵旅団などがシリア政府軍に加わる可能性を指摘した。

ラタキア周辺の空軍基地防衛で既に海軍歩兵部隊(海兵隊)が展開し、特殊部隊が派遣されているとの観測も絶えない。チェチェン共和国のカディロフ首長直轄のチェチェン人特殊部隊の幹部は昨年二月、イスラム過激派の殺害を目的にシリアに秘密裏に派遣されたとロシアメディアに証言。ISへの敵意をむき出しにするカディロフ氏は二日、正規軍としてチェチェン部隊をシリアに参加させたいとの強い希望を示した。

プーチン氏は空爆を開始した先月三十日、シリアへの地上軍派遣を否定。大規模な軍部隊を全面侵攻させ、泥沼にはまり込んだ旧ソ連のアフガン介入の二の舞いは回避したい意向がにじむ。政府軍への支援として、あくまで特殊部隊や中小規模の部隊を秘密裏に派遣する方針とみられる。




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