介護事業売却で株価急落…現実味帯びるワタミ倒産「Xデー」

1日、介護事業の売却が報じられると、ワタミの株価は8.6%も急落した。平均株価が2%近く上昇したことを勘案すれば、大幅下落である。介護事業の売却は8月にも一部で報じられたが、売却先が損保ジャパン日本興亜HDでほぼ固まったことが分かり、市場は“材料出尽くし”と判断したようだ。

ワタミは2期連続の赤字。2015年3月期は128億円もの巨額赤字を出し、今期も最終赤字ならば債務超過に陥る可能性があったため、それを避けるための“切り札”が介護事業売却だった。金融ジャーナリストの小林佳樹氏がこう言う。

「売却額は200億円前後といわれています。ワタミはとりあえず今期を乗り切ることができても、その先は厳しいでしょう。成長余地があるとみられていた介護事業を売却してしまえば、あとは苦戦続きの居酒屋チェーンと高齢者向け弁当宅配しかありません。居酒屋用に自社栽培している有機野菜は、介護施設や弁当宅配でも提供していますが、そうしたシナジー効果もなくなります」

特に居酒屋事業は深刻だ。サラリーマンの節約志向に加え、短期間にメニュー増減と価格設定を上下させたことが裏目に出て、既存店売上高は今年8月まで41カ月連続で前年同月の実績を下回っている。ものすごいスピードで不採算店の閉店を断行しなければ立て直しは難しいが、すでに前期100店を閉鎖しているし、上場企業だから急激なリストラはやりにくい。ブラック企業のレッテルを貼られているからなおさらだろう。

「メーンバンクの横浜銀行は、今のところ、メンツにかけて追加融資するようなそぶりを見せていますが先行きは不透明です。みずほ、三井住友などほかの融資銀行の反発も考えられるし、横浜銀は東日本銀行との合併も控えているからムチャはできないと思います」(小林佳樹氏)

「残る方策は創業オーナーの渡辺美樹氏にMBO(経営者が参加する買収)してもらうしかない」と冗談交じりに囁かれ始めているが、MBOする気があるなら、とっくに政治家を辞めて、経営トップに返り咲いているはずだ。

3月末に95億円あったワタミの現預金は6月末には53億円に減り、自己資本比率も6.2%まで低下してしまった。虎の子の介護事業を手放すことで、いよいよ「倒産」の2文字が現実味を帯びてきた。




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