山口組分裂から1カ月 「神戸山口組」見えぬ実態

指定暴力団山口組(総本部・神戸市灘区)の分裂が表面化してから27日で1カ月。兵庫県警など警察当局は、離脱派の新組織「神戸山口組」を暴力団対策法(暴対法)に基づく指定暴力団として規制するため、実態把握を急ぐ。ただ、数千人規模になるとみられる新組織の全体像はつかみにくく、指定作業の長期化は必至の情勢だ。未指定の間は「あいさつ料」の要求などを禁じた暴対法が適用できず、専門家から法改正を求める声も上がる。

暴対法によると、各都道府県公安委員会による指定は「暴力団の威力を使って資金を稼いでいる」「薬物犯罪など暴力団特有の犯罪歴がある者が一定割合以上含まれる」「代表者らの統制下に階層的に団体を構成している」-の要件を全て裏付けなければならない。

分裂直後は互いに切り崩し工作を繰り広げるため、「傘下組織が上部団体と異なる行動をとるケースも実際にみられ、流動的だ」と兵庫県警の捜査員。集めた情報の精査が欠かせず、暴力団や学識経験者から意見を聴く機会も必要となる。

分裂後の指定に時間がかかった事例は過去にもある。2006年、福岡県拠点の指定暴力団道仁会が割れた際、離脱した九州誠道会(現・浪川睦会)の指定には1年半以上を要した。両団体の抗争は激化、一般市民を含め14人の死者が出た。

兵庫県内でも1997年8月、山口組ナンバー2の宅見勝若頭らが射殺された事件で、関与したとされる中野会(その後解散)が絶縁となった。互いの報復とみられる発砲事件などが相次いだが、中野会の未指定状態は2年近く続いた。

現在、指定暴力団は国内に21団体。指定がなければ「あいさつ料の要求」や「不当な地上げ」などの行為は暴対法で規制できず、抗争時の事務所の使用中止命令も出せない。

さらに今回は、構成員の多さも際立つ。過去のケースでは九州誠道会が約350人、中野会が約170人だったが、神戸山口組の場合、離脱派の傘下組員全てが加われば3千人規模になる。

警察当局への情報統制を徹底する6代目山口組の体質は神戸山口組も同様とみられ、ある捜査員は「組員名の確認さえも時間がかかる」と言う。早期指定への課題は多いが、兵庫県警は「一日も早い指定で市民の安全を守り抜く」とし、情報収集の部署を9月に増員。警視庁や他府県警との情報交換も進めている。

【日弁連民事介入暴力対策委員会の元副委員長、垣添誠雄弁護士(兵庫県弁護士会)の話】 

分裂後に暴力団組織が野放しになり、市民を危険にさらす状態が長引く-という立法上の不備がまた露呈した。指定暴力団だった組織は離脱後も指定要件を満たすと推定し、すぐに指定できるよう改善すべきだ。現行の暴対法は、指定暴力団同士の抗争でない限り、事務所を使用制限できないのも問題。片方が指定暴力団なら制限を可能にすべきだ。そもそも、暴対法は暴力団の存在を認める法律で限界がある。存在自体を認めない抜本的な法的規制が必要だ。




http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/201509/0008433057.shtml