若年認知症 来年度から全国に支援員 医療や福祉連携

六十五歳未満の若年性認知症の人や家族を支援するため、厚生労働省は二〇一六年度から、都道府県に専門のコーディネーターを配置する。働き盛りで発症する人も多く、認知症への知識不足で受診が遅れたり、仕事を続けられずに経済的に苦しくなったりすることから、医療・福祉・就労の関係機関とのつなぎ役として生活全般をサポートする。 

厚労省推計(〇九年)によると、若年性認知症の人は全国に約三万八千人で、平均の発症年齢は五一・三歳。認知症の高齢者(一二年、四百六十二万人)に比べて少ないが、職場や家庭でさまざまな役割を担っており、支援が不十分だとの指摘があった。

コーディネーターは認知症介護の経験や専門知識がある人を想定。自治体が委託した社会福祉協議会や医療機関に常勤として少なくとも一人を配置、国が人件費などを補助する。

若年性認知症の人に対する厚労省研究班の生活実態調査(一四年)では、就労経験がある約千四百人のうち約八割が勤務先を自ら辞めたり、解雇されたりしたと回答。突然、収入源を絶たれるなど深刻な影響が出ている。

一方で、早期治療によって症状の進行を抑えられることもある。コーディネーターは発症から間もない場合に企業との勤務調整に当たったり、職場復帰や再就職を支援したりする。主治医と連絡を取りながら病状を把握し、障害年金や医療費助成といった社会保障の情報も伝える。

このほか、介護の負担が配偶者に集中することから、介護保険の利用についての助言や家族の心のケアに応じる。近隣の専門医や若年性認知症に対応したデイサービスなども紹介する。

東京都はすでに一二年からコーディネーターを配置。社会福祉士や作業療法士ら計三人が相談に応じ、介護の利用や障害者手帳の発行など行政手続きを手助けする。兵庫県も専門の相談員を置いている。

<認知症> 

脳の神経細胞が死んだり働きが悪くなったりすることで、物忘れや妄想、徘徊(はいかい)などの症状が出て日常生活に支障が出る状態。厚生労働省によると、2012年に認知症高齢者は462万人で、25年には675万~730万人に増え、65歳以上の約5人に1人に上ると推計されている。高齢者はアルツハイマー病が最も多い。一方、65歳未満が発症する若年性は、脳梗塞などが原因で起こる血管性認知症が4割を占める。政府は今年1月に策定した認知症対策の国家戦略で、介護する家族らへの支援や研究開発の推進を掲げている。




http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015092402000127.html