「地域猫」みんなの家族 県内、活動始まる 不妊手術し住民が世話

野良猫に不妊手術を施し、むやみに増えないようにした上で住民たちが世話をする「地域猫」の取り組みが、石川県でも始まっている。中心となっているのは、4年前に設立されたNPO法人「猫の避妊と去勢の会」(金沢市)だ。手術費用を助成したり、冊子で活動のこつを紹介したりし、東京や名古屋といった“先進地”の大都市圏に続こうとしている。

金沢市内の女性(41)は毎朝、自宅近くにすむ猫の世話に向かう。いつも餌をやっている場所に近づくと、黒、白黒模様、三毛の三匹が姿を現し「ニャー、ニャー」と餌をせがみだした。黒猫は女性に首をなでられ、気持ちよさそうに目を閉じた。右耳にはV字の切り込み。去勢手術を受けた証しだ。

近くにはクーラーボックスを改良した「ネコハウス」やプランターに川砂を敷き詰めたトイレも。他の場所で用を足すことはほとんどない。通り掛かった近所の人からは「いつもありがとう。果報な猫や」と声をかけられた。

女性がこうした世話を始めたのは、同会のメンバーとなった三年ほど前からだ。自宅で一匹飼っており、飼い猫を増やすことはできないものの「飼い猫と同じようにしてあげたい」と考えた。

野良猫に餌を与えるだけでは繁殖して数が増え、ふんやおしっこで周囲に迷惑をかける。だが、地域猫活動なら世話する猫は一代限りとなり、保健所での殺処分を回避できるし、餌やりやトイレの世話がきちんと管理される。地域に住む人たちが気持ち良く生活できる環境につながり「猫が苦手な人のためにもなる」(女性)という。

まだ地域猫が暮らすエリアは少なく、同会が把握している限りでは、県内で三件程度。ただ、この夏は金沢市内の三つの自治会から相談が寄せられるなど、地域ぐるみで猫の保護に乗り出そうという機運は高まりつつある。

同会理事長の桐畑陽子さん(67)は「町内の住民の同意をとりまとめるのはハードルが高いので、まずは一人でもできる避妊や去勢の手術から取り組みを始めてはいかが」とも話す。

会に協力する病院で手術をすれば、病院が価格を抑え、会の助成も出る。金沢市内であれば、これとは別に市の助成も受けられる。県内では二〇一一年からことし七月末までに、会がかかわる形で千二百三十二匹が手術を受けた。

「住民が連携して猫を世話することで『地域の目』が光り、住民の安全も守れます」−。桐畑さんはこんな言葉で、地域猫が発揮する意外な効果も強調している。

会では、地域猫活動の進め方を紹介する冊子(A5判十一ページ)を五千部作り、県内の支部や活動に協力する県内十カ所の動物病院に置いた。野良猫への無責任な餌やりを戒め、避妊や去勢の必要性、猫を排せつ場所に誘導する方法などをまとめた。問い合わせは桐畑さん=電090(3763)4439=へ。




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