高さ120センチの手すりから「なぜ」 川崎・老人ホーム連続転落死

神奈川県・川崎市幸区の介護付き有料老人ホームで相次いだ入居者三人の転落死。施設側から報告を受けた市はその都度、再発防止などを指導してきた。しかも三人が転落したベランダは高さ百二十センチの手すりがある。こうした対応や措置が取られていたにもかかわらず、転落はなぜ相次いだのか-。 

■相次ぎ3件

最初の一一九番は、昨年十一月四日午前一時五十分だった。約一カ月後、十二月九日の午前四時十七分に再び通報があった。

市によると、老人ホームなどは事故があると、報告書を市に提出する。

市は報告を受けるたび、施設側に経過記録の作成と原因の追究、再発防止対策を講じるよう指導してきた。

施設には毎夜、三人体制の当直職員がいる中、十二月三十一日の午前二時九分、またも入居者が転落したとの通報。相次ぐ転落に、「三件が短期間に起きるのは非常に不自然」と市の担当者は首をかしげる。原因がいまだはっきりしない中、施設側には警察の捜査に協力するよう要請した。

■胸の高さ

施設は六階建て。全八十室はいずれも個室で、二部屋ごとに仕切りのついたベランダがある。施設の運営会社の担当者は「洗濯ができるので、洗濯物を干すのに使っている方もいらっしゃる」。

ベランダには高さ百二十センチの手すりがある。身長一五〇センチの人なら、胸のあたりぐらい。市はその高さについては、問題ないとの見方を示す。

そもそも「入居者が階段から転落する事故は聞くが、ベランダから落ちて亡くなるのは非常にまれ」と市の担当者は言う。三人は認知症の症状があったという。だが、だからといって転落するとは限らない、とも担当者は付け加えた。

幸署によると、未明の時間帯の出来事で、有力な目撃情報は乏しい。「事故か事件かを明らかにする材料も、どちらかを否定する材料も乏しい」(捜査関係者)状況で慎重な捜査が続く。

■不安

施設には七日、入居する家族に会いに訪れる人たちの姿があった。九十代の母親を預けているという男性は、施設での暮らしぶりなどを母親に確認したという。

「今はどこの施設もいっぱい。預けるのも大変なことなんです」と男性。施設側には「どんな結果になっても施設自体は介護をきちんと続けてください」と、不安を抱えながらも変わらぬ介護を託したことを明かした。




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