福島・避難7町村:仮設の小中通学は12% 就学対象者

東京電力福島第1原発事故で全域避難した福島県の7町村が避難指示区域外の自治体に開設した仮設の小中学校に通う児童生徒は、住民票上の就学対象者の約12%にとどまることが毎日新聞の取材で分かった。帰還後の学校再開を見越して避難者の多い地域を中心に仮設校を設けたが、児童生徒が集まらない現状が浮き彫りになった。町村関係者から「このままでは若い世代が帰還しない」と危惧する声が出ている。

全域避難したのは大熊、双葉、浪江、富岡、楢葉5町と葛尾、飯舘2村(楢葉町は5日解除)。「地域コミュニティーを維持するため古里の学校を」との声が教育関係者や保護者から上がり、7町村は2011年〜14年、小中の仮設校を県内計10カ所に開設した(一部は小中が同じ場所)。

各教育委員会によると、今年度の就学対象者は計5076人だが、仮設校に通う児童生徒は計608人。年月とともに子育て世帯が散らばったり、子どもが避難先の地元の学校になじんだりしたことが大きな要因だ。

大熊町は事故1カ月後に西に約100キロ離れた会津若松市に仮設校を設けた。同市に臨時役場が置かれ、多くの町民が市内に避難した。

開設当初は対象者の50.9%が通学したが、大熊町の生活圏に近いいわき市に移る町民が相次ぎ、今年度は10.2%に。町の武内敏英教育長は「いわき市に移転しても子どもが増えるとは思えない。町立学校で学びたい子がいる限り最後まで良い教育環境を提供したい」と話す。

浪江町も11年8月、役場移転先の二本松市に仮設校を設置。町には元々、小中学校が計9校あり、仮設校に集まり過ぎないように各家庭にできるだけ避難先の学校に通うよう通知した。しかし、児童生徒は予想外に集まらず、対象者1348人に対し36人(2.7%)。町の畠山熙一郎教育長は「通知を出したことを後悔している。学校は地域のよりどころ。町が復興する時に学校も戻って再開したい」と話す。

開設が遅れた自治体は、子どもが避難先の学校になじんだため、苦戦する。13年4月に三春町に開設した葛尾村は20.6%、14年4月にいわき市に開設した双葉町は2.9%だ。

一方、飯舘村は、住民がまとまって避難している近隣の福島市と川俣町に設置し、53.7%と最も率が高い。

◇双葉町、不登校児を受け入れ

苦境を逆手にとる動きもある。いわき市に開設された双葉町立小中学校の仮設校は、7町村で最も遅い昨年4月の開設時、児童生徒数は11人だったが、被災自治体への加配で教員は26人もいる。「手厚い態勢で不登校児らに向き合う」との方針を打ち出したところ、町民ではない子どもも集まるようになり、今年9月で児童生徒は21人に増加した。

発端は、開設前に保護者から「子どもが避難先の学校になじめない」などの相談が町に寄せられたこと。半谷淳教育長が「悩める子の最後のとりでに」と発案。保護者同士の口コミなどで広がり、避難先の学校に通っていた町民の子どもや不登校に悩むいわき市内の子どもが転入し始めた。

不登校だった生徒が登校するようになるなど少人数教育の効果も表れているという。

半谷教育長は「最終的には不登校などに悩む全国の子どもが区域外就学できる公立校にしたい」と寄宿舎建設も想定し、国の支援を求める方針だ。

同町には事故前、小中の計3校に約550人の児童生徒がいた。




http://mainichi.jp/select/news/20150906k0000e040118000c.html