大手電力解約、原発15基分 自由化以降に新電力へ流れる

二〇〇〇年三月の電力自由化以降、電力の購入先を大手電力会社から新電力へ切り替えた企業や自治体などが、今年六月末時点で少なくとも約八万四千件に上ったことが本紙の調べで分かった。契約規模は約千五百万キロワットに上り、原発十五基分の出力に相当する電力が大手電力から離れた。

この動きは、東京電力福島第一原発事故をきっかけに加速。原発が止まった大手各社が電気料金を値上げしたため、多くの顧客が割安な新電力へ流れる傾向が続いている。

電力使用量の大きい工場などの大口の利用者は電力自由化以降、電力会社を選んで購入できるようになった。当初はコンビナートなど大工場だけだったが、その後、スーパーや町工場などにも対象が拡大。一般家庭は一六年四月から自由化される。新電力にはガス会社や丸紅などの商社、石油元売りなどが参入している。

本紙が大手電力十社に自由化後の解約状況を問い合わせたところ、東電、関西電力、中部電力の大手三社だけで解約件数の八割に当たる六万七千八百件(千二百七十万キロワット)の契約を失っていた。

最も多かった東電は四万六千件(八百五十万キロワット)が解約。内訳をみると原発事故以降に解約が加速しており、一一年三月末時点から三万一千三百件(四百三十万キロワット)が新電力へ移った。一二年四月から企業向け料金を平均14・9%値上げしたことが大きく影響したほか、「値上げは事業者の権利」(西沢俊夫元社長)とする発言への批判も高まり、解約が急増した。

中電では九千三百件(百五十四万キロワット)が解約した。最大の得意先である産業用大口の解約は「ほぼない」(中電幹部)というが、昨年四月の料金値上げをきっかけに、自治体や小規模事業所向けで新電力への流出が続いている。

同じく原発事故後、二度の値上げをした北海道電力でも解約数は、事故前の八倍以上に膨らんだ。一方、値上げしていない北陸電力は百二件(一万キロワット)にとどまり、原発のない沖縄電力ではゼロ件だった。

新電力の伸びについて東京理科大の橘川武郎(きっかわたけお)教授は「値上げなどを機に競争マインドが高まり、切り替えが大きな流れになりつつある」と指摘している。




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