改正マイナンバー法で銀行負担増 預金者にメリットないが…損保には商機

預金口座番号とマイナンバーを結びつける改正マイナンバー法が3日成立したことを受け、銀行業界は対策に乗り出す。一方、損害保険各社は従業員のマイナンバー情報を盗み取られた場合に備える保険商品の販売を強化している。「事務作業が大変だし、預金者のメリットもあまりないので同意が得られるか疑問」。大手銀行の幹部はこうこぼす。

預金口座番号とマイナンバーを結びつける仕組みは2018年1月に始まる。横浜銀行は16年1月に大規模なシステム改修を予定していたが、改正法の成立を受けて、顧客情報に口座番号だけでなく、マイナンバーも登録できるよう対応する。

マイナンバーを結びつけた場合、金融機関が破綻(はたん)した際に預金者への払い戻しがスムーズになる利点がある。ただ、書類の準備やシステム改修、研修の実施など負担は大きい。

全国銀行協会は昨年、マイナンバーを個人が新規開設する預金口座と結びつける場合、銀行業界にとって300億円の負担になるとの試算を政府税制調査会に示した。既存の約8億口座にも広げた場合は「さらに数倍のコストが発生する」と説明、システム改修にかかる費用について税制優遇措置を求めている。

口座番号とマイナンバーを結びつけるのは課税逃れなどを防ぐことが狙いだが、預金者の同意が必要だ。大手銀幹部は「預金者のメリットはそれほど大きくなく、どこまで同意が得られるか不透明」と懸念する。一方、現行のマイナンバーは来年1月から税金や社会保障などで活用が始まる。企業も従業員のマイナンバーを把握しなければならず、情報流出の危険性は高まる。

こうした動きを受け、損害保険ジャパン日本興亜は3日、あらゆるサイバーリスクに対応する保険を10月1日から売り出すことを明らかにした。初年度に約200件の契約、約4億円の収入保険料を見込んでいる。

三井住友海上火災保険とあいおいニッセイ同和損害保険も、共同開発したサイバー保険を今月1日に発売。サイバー保険で先行する東京海上日動火災保険も10月1日から、サイバーリスクに関するリスクマネジメント体制の構築・強化を支援する無料サービスを開始、保険の販売強化に努める。

東京海上日動は「中小事業者は個人情報を盗み取られることへの危機感が強く、マイナンバー関連の商機は増えそう」(広報)と見通す。生命保険会社は、大災害時の被保険者の死亡確認に苦労するケースが多かったが、マイナンバー情報で死亡が確認できれば保険金のスムーズな支払いにつながると歓迎する。マイナンバーの民間活用は18年をめどに検討されることになっており、クレジットカード会社は「マイナンバーで資産状況などを閲覧できれば審査の簡素化につながる」と期待する。




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