双葉郡復興へ試金石 楢葉、5日に避難指示解除 生活拠点整備急ぐ

東京電力福島第一原発事故に伴い楢葉町に設定された避難指示解除準備区域は5日午前0時に解除される。避難指示の解除は田村市都路地区、川内村の一部に次いで3例目。全町避難の市町村では初めて。双葉郡全体の復興の最前線として、町は「新生ならは」の創造に向け、新たなまちづくりに着手する。ただ、町民の帰還を進めるには、生活基盤の早期整備や産業の再生、防犯対策などが課題となっている。

楢葉町の北田地区。2日午後、強い日差しが照りつける中、来年2月に開所予定の県立大野病院付属ふたば復興診療所の建設予定地では、大型重機による造成工事が進められていた。

診療所は、町が新たな復興拠点と位置づける「コンパクトタウン」の中にある。コンパクトタウンの建設予定地は町役場の南側、6号国道の東側、木戸川の北側の約23ヘクタール。町民の暮らしを支える医療施設、商業施設、町民や他市町村の長期避難者らの住居が集約される。

町は、商業施設として地元事業者のスーパーマーケットと飲食店からなる公設民営の共同店舗を平成28年度中に開設する。今年度中に造成工事に着手し、ホームセンターや薬局などを誘致する考えだ。

しかし、いずれも先のことで、現在、町内に医療機関はなく、食品や生活必需品を販売する商業施設もコンビニエンスストアのみ。いわき市などの避難先に比べ、不便さは否めない。

今年4月から住民帰還に向けた準備宿泊が始まったが、登録者数は8月31日現在、780人(351世帯)と人口7368人(2694世帯)の約1割にとどまっている。「新たな拠点ができれば、町民の帰還意欲も高まるのではないか」。町はコンパクトタウンの早期整備が住民の帰還の鍵を握るとみている。

仮設住宅などへの入居が平成29年3月まで延長された影響を指摘する声もある。町行政区長会長の菅波孝男さん(56)は「避難指示が解除になっても、町にすぐ帰還する町民は少ないのでは。当面、避難先での生活や、楢葉町内の自宅と避難先との二重生活を続けるのではないか」と分析する。

一方、避難指示の解除で、福島第一原発の廃炉や避難区域の除染に携わる事業所、研究機関が楢葉町に拠点を移し、従業員や作業員が生活するようになる。帰還した町民と新たな住民がいかに共生していくかも課題となる。双葉郡の復興の前線基地となる楢葉町のまちづくりが、今後、避難指示の解除を迎える市町村の試金石となる。




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