6人に1人が低栄養 病気を防ぐ高齢期の“ひとり食”

2015年版の日本人の食事摂取基準によれば、70〜75歳であまり運動をしていない男性では一日のエネルギー必要量は約1850キロカロリー、女性では約1500キロカロリー。

食事の量が減ったり、あっさりしたものばかりを食べるようになったりすると、低栄養になるおそれがある。カロリーは高くても、低栄養な場合もある。低栄養とは、健康な体を維持するために必要な栄養素が足りない状態で、高齢者は特に、エネルギーとたんぱく質の欠乏が指摘されている。低栄養だと、風邪などの感染症になりやすくなったり、ふらついたり、体全体が弱くなる。

厚生労働省の国民健康・栄養調査(13年)によると、65歳以上の人の場合、16.8%が低栄養傾向という結果が出ている。

老年医学では、認知症のほかに、関節・骨・筋肉などの障害により体が動かなくなる「ロコモティブシンドローム」、筋肉が減少する「サルコペニア」、そして生活能力が低下する「フレイル(虚弱)」が問題になるという。

銀座医院の抗加齢センター長、久保明医師は言う。

「食べない、動かない生活はこの三つの病態に影響し、寝たきりに近い状態になります。低栄養状態は病気になりやすいし治りにくい。例えば脳卒中が起きたときに6〜60%が低栄養状態だという報告もある。日本人の多くが脳卒中で亡くなるのですから、ちゃんと食べて防ぎたいですね」

高齢期の虚弱を防ぐには、たんぱく質とともにビタミンD、E、Cの摂取も大切だ。ビタミンDは鮭、さんま、うなぎなど魚全般や、きくらげや干ししいたけなどきのこ類にも多い。ビタミンEはかぼちゃ、アーモンドなど。ビタミンCは赤ピーマンや柿が代表的な食材だ。骨粗鬆症を防ぐために、ビタミンDとカルシウムを取ると同時に運動もこころがけたい。 管理栄養士の可野倫子さんは、

「それぞれの食品群が満遍なくそろうようにバランスよく選んでほしいですね」

と言う。

献立の基本は“一汁二菜”。

「主食、汁物、メイン(主菜)と副菜。栄養バランスは目安なので、きっちりしなくても2〜3日でバランスをとるといいでしょう。ただ暑い時期は脱水しやすいので、毎食の飲み物は忘れずに」(可野さん)

浴風会病院のもの忘れ外来の須貝佑一医師は次の三つを高齢期の“ひとり食”の注意点として挙げてくれた。

[1]3食とも必ず野菜を入れる工夫をする(サラダでも、煮物、汁物でも可)[2]2日に一度(できれば1日1食)は魚を取る[3]カロリーが極端に高くなったり低くなったりしない

栄養が十分で、食材を無駄にしない。この二つを踏まえて、可野さんに「1週間使い切り健康レシピ」を考えてもらった。

ポイントはメイン食材の使い回しだ。例えば、月曜の夜。「豆腐と野菜の中華炒め」で木綿豆腐を3分の1丁使い、2分の1丁を、火曜昼の「豆腐のドライカレー」に。残りはみそ汁などに利用する。

火曜の夜に「チキンソテー」で使う鶏もも肉は、一部を水曜昼に「チキンサンド」にし、残りを金曜の昼の「親子丼」で使う。

水曜夜の「鮭のホイル焼き」をオーブントースターで焼くときに、翌日の昼の「鮭のクリームパスタ」の鮭も別のホイルに包んで一緒に焼いておけば、時短にもなる。

束で売っているような野菜についても1週間通してアレンジが可能だ。例えばかぶ。中華や和のスープ、サラダやおろし、そして蒸すというように。先のことを考えて「食材を残して使う」。こうした食材の展開が生活のリズムになれば、認知症予防にもつながってくる。




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