企業年金:労使でリスク 分担型、来年度にも導入…厚労省

厚生労働省は、企業と社員が運用リスクを分け合う新たな企業年金制度の検討を始めた。現在の企業年金は、企業が給付水準を約束する「確定給付型」と、社員個人の運用で年金額が決まる「確定拠出型」の2種類があり、運用リスクは一方に偏っている。公的年金の給付水準が将来的に低くなることを踏まえ、同省は「自助努力」として企業年金を拡大させる方針を打ち出しており、リスク分担型の創設で企業年金の導入を促したい考えだ。政令などを変更して2016年度の運用開始を目指す。

◇「確定給付」から移行想定

公的年金は、高齢化や少子化の進み方に応じて給付水準が低くなる仕組みになっており、長期にわたり切り下げられていく。一方で、老後の生活費を増やす役割を担う企業年金の加入者数は約1650万人(今年3月末、重複加入含む)で、厚生年金加入者の4割弱にとどまっている。

厚労省は、現在の企業年金はリスクが一方に偏っていることが普及を妨げている一因とみている。確定給付型は、企業が掛け金を負担し、運用から給付まで責任を持つ。資金不足になれば追加負担をして穴埋めしなければならず、企業の負担が大きい。確定拠出型では、企業は掛け金を負担するが、運用は社員個人が行う。運用実績次第で年金額が増減する「自己責任」方式だ。

これに対し、新タイプは労使でリスクを分かち合う形だ。企業には掛け金負担や運用責任があり、年金の水準も決めておく。運用成績が悪かった場合に備え、あらかじめ企業が運用の資金に一定額を上乗せしておく。それでも不足すれば年金を減額する。上乗せ額は、同省が参考にしたオランダでは「5%以上」と定めており、これを参考に検討する。

厚労省は、新制度で企業年金の導入が進むことを期待するほか、企業側の負担が大きい確定給付型からの移行を想定している。

企業年金の拡充策として、同省はこのほか、中小企業向けに事務手続きなどの負担を軽減した「簡易型確定拠出年金」を創設する方針で、今国会に関連法案を提出している。

【ことば】企業年金

国が運営する国民年金や厚生年金に対し、企業が運営する年金で、従業員の老後保障を手厚くするのが狙い。公的年金の国民・厚生年金に対し、「私的年金」と呼ぶ。確定拠出型の年金には、自営業者など会社勤めをしていない人も個人で掛け金を負担して加入できる制度もある。




http://mainichi.jp/select/news/20150830k0000m040086000c.html