揺れる創価学会員 安保法案で自民と協調「おかしい」

公明党の支持母体・創価学会の会員が安全保障関連法案をめぐり揺れている。自民党と共に法案を推し進める姿勢に疑問を抱き、学会の旗を持ってデモに参加したり、法案の撤回を求めて署名を集めたりする会員も。学会に詳しい専門家は「学会が求めてきた庶民感覚に基づく平和主義と、右傾化する自公連立政権の政策が離れてきたため」とみる。 

今月二十三日、東京・表参道であった安保法案反対のデモに、青、黄、赤の三色の学会旗がはためいた。入信三十年という埼玉県の介護職員の男性(49)は「公明は平和の党と思っていたが、変わってきた。解釈改憲を認めるなんておかしい」と小旗を振った。

大阪市ではその前日、憲法学者の木村草太・首都大学東京准教授を講師に、会員有志が「法案への賛成・反対にかかわらず、会員で迷いを共有する場に」と「日本国憲法を勉強する創価学会員の集い」を開催。子供二人を連れた主婦(35)は「公明が法案に歯止めをかけたと信じているが、不安も出てきた。もっと自民に物を言って」と求めた。

父母の代から会員の農業天野達志さん(51)=愛知県安城市=は七月末、ツイッターで「ひとりの学会員」と名乗り、公明に法案撤回を求める署名集めを始めた。「武力で抑止力を高める発想は学会の平和哲学に反する」と訴える。創価大と創価女子短大の教員ら有志の会も法案に反対する声明を発表、千六百人超が賛同の署名をした。

法案への不安が広がる一方、「学会では声を上げづらい」と明かす人たちも。関西地方の七十代女性は「法案に反対したら、他の会員に『反逆者』と言われた。対話も拒まれ、孤独で悔しい」と嘆く。

近代日本宗教史が専門の島薗(しまぞの)進・上智大教授は「九条の平和主義を重んじる学会の教えを考えれば、法案に対して多様な意見が出て当然」と理解を示す。「自民との協調で従来の学会の教えと党の政策との距離は広がるとしても、個々の会員の思いは抑圧されることなく、尊重されるべきだ」と語る。

◆政治的な利用遺憾

創価学会広報室の話 

九条の平和主義と専守防衛を踏まえ、それに基づく法案の審議が国会で進められていると認識しています。法案をめぐる会員の集会や動きは関知せず、公認したものでもありません。当会の名前と三色旗が政治的に利用されることは大変遺憾です。

<創価学会> 

日蓮の仏法を信奉する宗教団体で、会員数は公称827万世帯。1930年に創価教育学会として創立。太平洋戦争中、国家神道の強制に抵抗して多くの幹部が検挙された。戦後再建され、現名誉会長の池田大作氏が第3代会長に就いた60年代以降、組織を拡大させた。学会の三色旗は赤が勝利、黄が栄光、青が平和を表す。公明党は61年に創価学会を支持母体に発足した公明政治連盟が前身。

◆公明「歯止め」説明に腐心

公明党の支持母体・創価学会の関係者に法案への反発が強まっていることに対し、党幹部は説明に苦心している。

山口那津男代表は二十六日のBS番組で「私たちの説明が届いていない。反省しないといけない」と現状を率直に認めた。

公明党は法案提出前の自民党との与党協議で、集団的自衛権の行使を日本を守る場合に限定したことなどを挙げ「公明党が歯止めをかける部分を吟味した」(山口氏)と自負していた。だが国会審議では、どんな状況なら集団的自衛権を行使できるのか政府の説明は曖昧なままで、野党に連日追及されている。

政府が集団的自衛権の行使を合憲とする根拠に挙げる砂川事件の最高裁判決をめぐっても、公明党はもともとは「論理に飛躍がある」と否定的だったのに、政府・自民党に押し切られて容認した。

こうした対応が、海外での武力行使が際限なく広がるとの不安や違憲立法批判を招く一因になり、創価学会を中心とした支持者の反発につながっている。だが法案に疑問を抱く支持者には「現場に行って説明するしか手はない」(漆原良夫中央幹事会会長)のが実情だ。 




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